障害のある人もない人も共に生きる社会の実現に向けて 葛飾区では、平成31年4月1日に、「葛飾区手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例」を施行しました このリーフレットは、障害のある人やそのご家族と共に作成し、イラストは、障害のある人に描いていただきました。 2ページ 条例について すべての区民が、社会、経済、文化その他のあらゆる分野における活動に参加し、心豊かに生活していくためには、障害の有無に関わらず、豊かなコミュニケーションが図られることが重要です。 しかし、現状では、障害のある人にとって障害の特性に応じた情報の取得やコミュニケーションのための手段を選択することができる環境は十分に整えられておらず、日常的に不便または不安を感じながら生活している人も少なくありません。 このような現状をふまえ、手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境を整備することにより、障害のある人の社会参加を促進し、すべての区民が、障害の有無に関わらず、相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、本条例を制定しました。 条例の主な内容 条例の基本理念(条例より抜粋) 第3条 障害の特性に応じた情報の受渡し及びコミュニケーションのための手段を選択することができる環境を十分に整えていくことは、障害のある人が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要不可欠であるとの理解の下、全ての人が相互に人格及び個性を尊重し合うことを基本として行わなければならない。 2 手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用する全ての人が有するコミュニケーションを円滑に図る権利は、最大限尊重されなければならない。 3 手話の普及は、手話が独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が心豊かな日常生活及び社会生活を営むために大切に受け継がれてきた言語であるとの認識の下、行わなければならない。 区の責務 区は、基本理念に基づき、障害のある人が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう、手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関する施策を推進するものとします。 区民の役割 区民は、基本理念に対する理解を深め、手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関して、区が推進する施策に協力するよう努めるものとします。 事業者の役割 事業者は、基本理念に対する理解を深め、手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関して、区が推進する施策に協力するよう努めるとともに、障害のある人が手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用するための合理的な配慮をするよう努めるものとします。 3ページ 障害の特性と配慮の例 障害の特性や配慮の例を紹介します。 障害の種別や程度は、さまざまです。障害の特性を知り、その人に合った方法でコミュニケーションを図ることで、情報の受渡しを行うことが重要です。 聴覚障害 身の周りの音や話し言葉が聞こえにくかったり、まったく聞こえないなど、程度はさまざまです。外見では判断しにくいため、周囲の人に気付いてもらえないことや誤解されることも多いです。 音で周りの状況を判断できないため、困ることもあります。また、補聴器を付けていても、必ず明瞭に聞こえるわけではありません。 ろう者 先天的又は、音声言語を習得する前に失聴した人 中途失聴者 音声言語を習得した後に何らかの原因で、聞こえにくくなったり、聞こえなくなった人 難聴者 聞こえにくいが、聴力が残っている人 盲ろう者 視覚と聴覚の両方に障害がある人 配慮の例 ・聞こえ方などにより、コミュニケーション方法はさまざまです。その人に合ったコミュニケーション方法を確認してください。 ・声をかける時は、口の動きや表情がわかるように、ゆっくりはっきり、身振りを交えて声をかけてください。 ・お知らせを送る時は、FAX番号やメールアドレスなど、電話以外の連絡先を載せてください。 コミュニケーション手段の例 手話、要約筆記、口話、筆談、触手話、指文字など 視覚障害 全く見えない人(全盲)や、見えづらい人(弱視)がいます。また、見える範囲が狭い人(見える範囲が中心だけの人や、周囲が見えて中心が見えない人など)もいます。 配慮の例 ・声をかける時は、前方から「何かお手伝いできることはありますか?」など声をかけてください。 ・「あれ」「これ」などの指示語は使わず、具体的に伝えてください。「何時の方向に○○があります」などと伝えていただけると助かります。 コミュニケーション手段の例 点字、音訳、拡大文字など 精神障害 統合失調症、うつ病、神経症などの精神疾患の症状は、疾患の種類によっても異なりますが、眠れない、気分の落ち込み、幻聴、幻覚などの症状が現れます。 治療の必要な疾患と、疾患による障害を併せ持つ困難を抱えています。また、正しい理解が普及していないことで、誤解や偏見もあります。 発症早期に適切な治療を受けると回復しやすいのですが、本人は病気や障害を認識していない場合もあるため、周囲の方が専門機関へ相談するのも有効です。 薬物療法や精神療法、生活技能訓練、環境調整などが主な治療法となります。 4ページ 知的障害 知的機能の障害が発達期(18歳頃)までにあらわれ、日常生活の中で、さまざまな不自由が生じています。支援のしかたは、一人ひとり異なります。 複雑な話の理解や判断が難しかったり、抽象的なことが理解しにくいことがあります。また、状況に応じた行動が難しいこともあります。 配慮の例 ・わかりやすく、短い言葉で話しかけてください。 ・身振りや手振り、絵や図などを使うと分かりやすいです。 コミュニケーション手段の例 絵、写真、図、平易な表現など 高次脳機能障害 病気や交通事故などで、脳の一部が損傷することで症状がでます。 記憶、行為、言語、注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態です。 感情のコントロールができず、人柄が変わってしまうこともあります。 配慮の例 ・用件は、紙に書いて渡してください。 ・スケジュール表などがあると、行動しやすいです。 ・質問は、二者択一でどちらかを選ぶようにしてもらえると分かりやすいです。 コミュニケーション手段の例 絵、図、平易な表現など 肢体不自由 病気やケガなどにより、上肢や下肢、体幹部分に障害があり、歩くことや、着替えることなど日常の動作が困難になります。 発声に関わる器官のまひや不随意運動などにより、会話をすることが困難な人や、体温調節が困難な人もいます。 また、重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複している場合(重症心身障害)があり、人工呼吸器を使用するなど、医療的ケアが必要な人もいます。 障害の程度などにより、コミュニケーション方法はさまざまです。 配慮の例 ・困っていたら、積極的に声をかけ意思を確認してください。 ・同じ目線で話してください。 コミュニケーション手段の例 情報機器、重度障害者用意思伝達装置など 内部障害・難病 内部障害 心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸、肝臓、免疫機能に障害があります。 周囲の方の理解と配慮を必要とする障害です。 難病 原因が分からず、治療方法が確立していないなどの希少な疾病であって、長期の療養を必要とするものです。 外見では判断しにくいため、周囲の人に気付いてもらえないことや誤解されることも多いです。 困っている人を見かけた時は、まずはちょっとした手助けからご協力をお願いします。 令和元年発行 葛飾区福祉部障害福祉課 〒124-8555 葛飾区立石5-13-1 電話:03-5654-8302 FAX:03-5698-1531