結核と診断されたら
結核が「発病」して結核菌を沢山「排菌」している場合(痰の塗抹検査で陽性の場合)は、入院になります。「発病」しても「排菌」していない場合は、通院治療が可能です。入院期間は、排菌が停止して他の人にうつさなくなったことが確認されるまでです。約2~3ヵ月程度で排菌は止まりますが、個人の病状や経過によって異なります。
結核診断後の流れ
入院
入院治療が必要な人は、肺結核、咽頭結核、喉頭結核または気管支結核の患者であり、喀痰塗抹検査の結果が陽性である患者です。または喀痰塗抹検査が陰性であっても、培養検査、核酸増幅法検査などが陽性で、かつ呼吸器症状(咳、痰、呼吸困難等)がある患者も感染防止のため保健所が入院を勧告します。一般的な入院期間は、約2~3ヶ月です。
適切な治療をおこなえば2~3週間でほぼ感染力は無くなってきますが、感染性の消失を確認するまで慎重を期して、長期入院になっています。
入院しての治療は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」という法律で定められています。これらは、患者様に安心して適切な治療を受けて頂くことはもちろん、他の人への感染拡大を防止するため必要であることを理解して頂き、入院しての治療にご協力をお願いします。
様々な検査で、結核菌を排出していないと診断された人は、退院して外来での治療が可能となります。
治療の方法
基本的に薬(抗結核薬等)で治します。3~4種類の薬剤を服用します。服用期間は、基本的に6~9ヵ月ですが、個人の病状や経過によって長くなることがあります。結核は通常、薬(抗結核薬等)を医師の指示通りに飲めば治ります。大切なのは医師から「薬を飲むのを止めてもいい」と言われるまで、処方された通りに薬を飲み続けることです。
咳が止まったからといって勝手に薬の飲み方を不規則にしたり、飲むのを止めると、薬の効かない菌(耐性結核菌)ができることがあります。薬剤耐性結核は、通常の治療よりも多種の薬を、さらに長期間服用しなければならず、場合によっては外科的治療も行われます。薬の飲み方を自分で判断しないことが大切です。
「発病」については肺結核はエックス線を使った画像診断や細菌検査で診断します。
- エックス線撮影検査:肺結核の「発病」については、胸部エックス線撮影を行い、疑わしい影がある場合はCTスキャンなどの精密検査を行います。
- 喀痰検査:塗抹検査、培養検査、遺伝子検査などがあります。結核菌は増えるのが遅いので、培養検査では数週間かかります。1日1回の採痰を連続で3日間行うのが望ましいとされています。
<薬を確実に飲み続けるために~DOTS法とは~>
DOTS (ドッツ)とは直接服薬確認療法(directly observed treatment short-course)の通称で、患者が適切な容量の薬を服用するところを医療従事者が目の前で確認し、治癒するまでの経過を観察する治療方法です。薬を飲み続けることができるように保健師等が家庭訪問または面接などを行い、治療終了まで支援します。
就業制限
結核の蔓延を防止するために就業ができないことをお知らせするために行うものです。喀痰の塗抹検査、培養検査または核酸増幅法検査の検査いずれかの結果が陽性である患者に適用となります。外来通院患者でも、検査の結果によっては、入院しての治療は必要ないが、就業制限だけはかかる方もいます。
【罰則規定】 当該就業制限義務に違反した者は、50万円以下の罰金に処される。
就業制限に該当する業務
「接客業その他の多数の者に相対して接触する業務」に対する制限がかかります。
従事禁止の適否は、保健所に設置されている葛飾区感染症の診査に関する協議会によって決められます。
具体的な業務に関するご相談は、保健所へお問い合わせください。
就業制限の解除基準
(1)治療開始時に、入院勧告がかかっていた患者の場合
結核の症状(咳、発熱、結核菌を含む痰等)が消失したことを確認し、異なった日の喀痰培養検査結果が連続して3回陰性であることをもって解除されます。ただし、3回目の検査は、核酸増幅法の検査とすることもできます。その場合、核酸増幅法の検査の結果が陽性であっても、その後の培養検査または核酸増幅法の検査の結果が陰性であった場合、連続して3回の陰性とみなし、解除されます。
(2)治療開始時期に入院を要しない患者の場合
治療開始時期の培養検査または核酸増幅法の検査の結果が陽性であることから就業制限の通知がなされている患者様については、2週間以上の標準的化学療法が実施され、治療経過が良好である場合は、2週間以上の標準的化学療法を実施した後の異なった日の培養検査または、核酸増幅法検査の結果が2回連続で陰性であった時点で、結核菌を含む痰の消失が確認出来たものとみなしてよいものとします。
管理検診
結核登録票に登録されている者に対して、感染症法第53条の13に基づき、エックス線検査を実施することをいいます。
- 症状や治療期間等の経過により、治療終了後2年間から3年間、半年毎の検診が必要となります
- 医療機関や職場などで受けた検診結果を報告していただいてもかまいません
- 検診を受診していない場合、治療後の経過が分からないため、最低でも5年間は管理されます
- 再発の可能性がないと判断できるまで、管理を続けなければなりません
- 治療終了後も、保健所より患者様への管理検診の受診勧奨の連絡が、再発の可能性がないと判断されるまで続きますので、ご協力をお願いいたします
医療費公費負担制度
結核と診断された方が安心して適正な治療を受けられるよう、感染症法による公費負担制度(国・自治体からの治療費補助)があります。
医師の診断に基づく患者または保護者からの申請に対して、その治療等の内容が適正であるか、葛飾区感染症の診査に関する協議会の意見を踏まえて、適正であれば公費負担が決定されます。
公費負担額については、世帯の所得税額や入院、外来の違い等によって異なります。詳しくは保健所にお問い合わせください。
Q&A
Q 治療中は仕事をしてもいいのでしょうか
A 昔のように結核の治療中ずっと寝ていなければいけないということはありませんが、検査で人に感染させる恐れがあると判断された場合は、入院治療となり就業が制限されます。通院治療の場合は、服薬しながら仕事を続けることができます。ただし就業制限中は「接客業その他の多数の者に相対して接触する業務」につけません。また、十分な睡眠時間の確保、1日3回の食事摂取等の規則正しい生活を心がけることが大切です。
Q たばこを吸ってもいいでしょうか
A たばこは肺の機能を落とし、身体に負担をかけます。禁煙のための保険治療もできるようになりました。これを機会に禁煙しましょう。
Q お酒を飲んでもいいでしょうか
A 治療中は禁酒が原則です。肝臓の負担が増えると薬の副作用もでやすくなり、治療にも影響がでます。服薬中は飲酒を控えましょう。
Q 食事の注意がありますか
A 体の回復力を高めるために、バランスの良い食事を規則正しくとりましょう。
Q 食器や布団などは消毒しなくていいのでしょうか
A結核は紫外線に弱く直接日光にさらされると死んでしまうため、基本的にモノからうつることはありません。したがって、特別な薬剤やアルコールを用いて消毒をする必要はありません。ただし、痰や鼻水を出したティッシュ等のゴミは注意が必要です。 菌が付着している可能性があるので、ビニール袋に密閉して処分しましょう。
Q 入院中に家族や友人に面会に来てもらって感染しないでしょうか
A 服薬を始めて2週間ほどたつと、菌の数はぐっと減りますが、病院に確認し、マスクをつけたり、咳をする時にはタオルで口を覆うなど配慮をしましょう。
Q 治療中は運動を控えたほうがいいでしょうか
A 発病すると心肺機能が落ちますので、激しい運動は避けたほうがいいでしょう。しかし、体力を維持するためにも歩くことや呼吸リハビリを主治医と相談しながら行っていきましょう。また、学校の体育の授業の参加についても、主治医と相談しましょう。
Q 朝の薬を飲み忘れた時は、その分飲まなくてもいいでしょうか
A 万一忘れてしまった時でも、決められた1日量はきちん飲めるように、忘れた分は昼か夜かにまとめて服薬してもよいかあらかじめ主治医に相談しましょう。薬の飲み方が不規則になると、結核菌が生き残り、症状が悪化したり、薬が効かなくなってしまうことがあります。薬を食卓に置いておくなど、飲み忘れのないように工夫することも大切です。
Q 治療中は避妊したほうがよろしいのでしょうか
A セックスは治療の効果には直接影響がないと言われています。しかし結核薬には胎児への影響がほぼないと言われているものと、一般的には妊娠中に使用しないものがあるため、妊娠の可能性がある時には、主治医とよく相談しましょう。
Q HIVについて
A ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している場合は、結核の治療法や治療期間が変わることがあります。もし、HIVについてご心配なことがある時には、主治医や保健師ご相談下さい。病院では、患者さんにとって最適な治療法を決めるためにHIV検査を勧めることがあります。
関連リンク
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このページに関するお問い合わせ
保健予防課 感染症予防係
〒125-0062 葛飾区青戸4-15-14 健康プラザかつしか内
電話:03-3602-1331 ファクス:03-3602-1298